出張報告書の書き方と内容4つのポイント!テンプレートと例文を活用しよう
公開日:
2022/7/2
更新日
2023/2/24
【監修】プライズ株式会社 代表取締役CEO 内田 孝輔
出張報告書の書き方が分からない・出張報告書のテンプレートが欲しいと考えている方は多いです。出張後は仕事が溜まっていたり片付けるべき課題を持ち帰っていたりする中で、出張報告書作成に長い時間を割くわけにはいきません。効率良く出張報告書を作るためには、テンプレートを使用して例文も参考にするべきでしょう。
今回の記事では、出張報告書の書き方や無料で使用可能な Word・Excelのテンプレートを紹介します。優れた出張報告書を短時間で作れるようになりたいと考えているのなら、ぜひ参考にしてください。
出張報告書とは、出張中の現地での業務内容や出張で得た成果について社内で報告するために作成する書類です。出張報告書を活用すれば、口頭やメールで出張についての報告をするよりも効率良く正確に社内で情報が共有可能でしょう。
出張報告書に記載する内容に明確なルールや決まりはありません。そのため出張報告書は自由に作成できますが、記載するべき必須項目などは把握しておいてください。社内で出張報告書のフォーマットが用意されているのなら、その書式を利用すると良いです。
フォーマットがなく上司から書式の指定がない場合には、この記事で紹介するテンプレートが役に立つでしょう。
まず、出張報告書を書くためにはその目的を知る必要があります。報告書作成の目的を理解しないままでは効果的な報告書を作成できないでしょう。ここからは出張報告書の目的について紹介します。
出張報告書は、出張先で行った業務内容を出張に行っていない上司や他の社員に報告する役割を持っています。出張は選ばれたメンバーのみが行くものであり、業務の関係者全員が出張に行けるわけではありません。そのため、出張先で得た情報や成果は多くの社員で共有する必要があるのです。
また、出張には多くの費用と時間がかかることから、上司は部下が出張によって得た成果をよく理解しなくてはいけません。出張報告書次第で次の出張が見直される場合もあるでしょう。
出張後には、出張で誰と会い、何を話して何を得たのか?簡潔でいて明確な説明ができるようにしてください。
業種によってその内容は変わりますが、出張には明確な目的があるはずです。具体的には、調査・打ち合わせ・営業・視察などが出張の目的の例でしょう。さらに出張には多くの時間と費用がかかるため、目的に対する何らかの成果が必要です。出張報告書がなければ「出張に行った」という事実しか記憶に残らない可能性がありますが、出張報告書を作成すれば、出張の目的と成果の振り返りができるのです。
もちろん出張で期待する成果が得られない場合もあります。たとえば出張で遠方に営業に行っても、必ず契約に結びつくとは限らないでしょう。しかし、その営業から経験や知識を得ることは可能です。長い目で見て契約に結びつく可能性を感じたとすれば、それは出張で得た成果だと言えます。
また、出張中に感じた反省点があるのなら、次の出張や業務に活かす・改善策を考えることもできます。本来自分が実施した事柄は客観的に判断しにくいものですが、出張報告書を作成すれば出張中に行った業務全体を客観的な視点で見直せるでしょう。
冒頭でも説明した通り、出張報告書に明確な書き方のルールはありません。しかし、会社で出張報告書のフォーマットが用意されていない場合には基本的な出張報告書の構成を理解しておく必要があるでしょう。必須項目が欠けてしまうと、出張報告書を読む相手に必要な情報が伝えられません。ここからは出張報告書の基本的な書き方をまとめました。
自分でフォーマットを作成する方も、この構成を意識すると良いでしょう。
出張報告書の概要には出張の基本的な情報を記載します。これらの内容が不足すると書類として成立しない可能性がありますので、注意してください。
出張報告書の提出日と作成者
出張の期間
出張の目的
訪問先
出張の同行者
これらの情報を明確にすれば、出張の内容の大まかな部分を伝えられるでしょう。出張の目的や訪問先が複数ある場合には、全てを記載するようにしてください。ただし、概要の項目で出張の内容を細かく説明する必要はありません。簡潔に必須項目に該当する情報のみを明らかにしましょう。
また、出張に同行者がいるのであれば全員の氏名と役職も書き残してください。同行者も別途出張報告書を提出すると思いますが、同行の事実を自分の出張報告書に書いておきます。
概要の例文
・提出日 〇〇年◯月◯日
・部署・氏名 営業部◯◯
・出張の期間 〇〇年◯月◯日~〇〇年◯月◯日
・出張先 〇〇株式会社 本社
・出張の目的 商品案内(対象商品〇〇)
・同行者 〇〇係長
出張の大まかなスケジュールを明らかにします。時系列表記を活用して、簡潔でいて分かりやすい仕上がりを心掛けましょう。あまりにスケジュールのボリュームが大きすぎると、出張報告書全体がまとまりにくくなってしまう恐れがあります。
打ち合わせや営業などがあった場合には、その内容だけでなく担当者名も忘れずに記載します。どこに行ったか・誰と会ったかが伝わるようにしましょう。
情報量が多く出張報告書にまとめきれない時には、別途資料を添付すると良いです。
スケジュールの例文
◯月◯日 ◯時◯分 〇〇駅着 ホテルに宿泊
◯月◯日 ◯時◯分 〇〇株式会社本店 訪問(営業課〇〇様・〇〇様)
◯月◯日 ◯時◯分 〇〇株式会社支店 訪問(営業課〇〇様)
活動内容は以下の通り
・商品〇〇の機能面について競合他社との比較と優位点を説明
・現在使用いただいている商品〇〇について改善点はないかの確認
・先月の〇〇イベント成果の報告
・販促イベントの提案
出張で得た成果を記載します。出張前に決めていた目標が達成できた時には、その事実を明らかにしましょう。出張の目標が果たせなかった場合は「目標が達成できなかった理由は何か?」「目標に対してどの程度の進捗があったのか?」または、目標の達成以外に得た有益な情報や次につながるアイデアなどを共有してください。
実際に、出張に行って目的が達成できず、学ぶことも得るものもないという状態は滅多に起こりません。出張中に得たこと・経験・知識などをよく考えて文章で伝えます。
成果の例文
・今回は契約まで至らなかったが、A社本社で開催される定例会議にて、当社の製品導入について検討後返事をいただけるとのこと。今後も定期的に連絡を取り、A社の反応次第で再度訪問を予定します。
・来期から商品〇〇を〇〇台導入する契約を締結しました。納品日時については現在調整中です。
出張先では普段会社にいるだけでは得られない情報が手に入ることが多いです。次回出張に行くのが自分以外の担当者になる可能性を考え、手に入れた有益な情報は出張報告書を活用して社内で共有しておきましょう。
また、所感に出張の感想を記載してしまうと読む相手に幼稚な文章だという印象を持たれてしまいます。「A社は、とても綺麗な会社だと思いました」や「初めての出張で緊張しました!」など読む側にメリットのない情報は書かないようにしてください。
所感に何を書いたら良いか分からないと悩む方は多いようです。スケジュールと成果には実際に起こった事実を書き、所感には共有するべき自分が得た情報を記載すると考えれば良いでしょう。
所感の例文
・A社営業部長の山田部長は甘いものが苦手との話を聞きました。次回の手土産は甘味以外にします。
・A社は自社のサービスは価格・性能ともに気に入っているものの、アフターフォローに不安を感じているようです。次回訪問時にはその課題をクリアできるよう対策を考えたいと思います。
・前回の出張時よりも〇〇店の客層が変わったと感じました。近隣に私立大学が建設されたことが原因だと考えられます。調査の上次回の出張に向けてターゲットを追加した販促方法を提案します。
ここでは、出張報告書の書き方のポイントをまとめました。会社のフォーマットを使用して出張報告書を作成する場合も、こちらで紹介するポイントが役に立つでしょう。
先ほどもお伝えしたように、出張には必ず目的と期待する成果があります。その目的と成果を出張報告書に記載すれば、出張報告書を共有する相手に「出張が部署や会社にとって有益なものであった」と伝えられるでしょう。目的が一回の出張で達成できるようなものでなかった場合には、目的に対する進捗を明らかにします。
次に実施するべきアクションや方向性についてもまとめられれば、先の行動を見据えた判断が可能な人間であることをアピールできるでしょう。
目的と成果が曖昧になると、出張報告書の一番重要な部分が抜けてしまうため注意してください。「何のために出張に行ったのか」「その目的はどの程度達成できたのか」が把握できる出張報告書を作成しましょう。
出張報告書は誰が読んでも分かりやすいものでなくてはいけません。そのためには「たくさんいた」「多かった」「ほとんど終わった」「あまり進まなかった」などの主観的な表現を避け、可能な限り数字を利用した表示をしてください。
たとえば「多くの方が当社の製品に興味を示した」ではなく「13社が当社の製品に興味を示し、名刺交換を済ませた」や「展示会で何社かの新規契約見込みができた」よりも「展示会で5社の新規契約見込みができた」の方が状況を明確に伝えられます。
数字を活用することによって、具体的な根拠のある文章が書けるようになるのです。次回につながる約束ができたのであれば、その時期なども記載できると良いでしょう。
出張終了後は自分が不在の間に社内で業務が溜まっていたり、出張中に得られた事柄のフォローをしたりと忙しいと思います。それでも出張報告書は優先して作成し、出張終了後可能な限り早く提出しなくてはいけません。出張後に関係者を巻き込んで、次のアクションをすぐに進めることもあるためです。
また、特に重要な目的を持って実施された出張は上司を含めて多くの社員が出張の成果を早く知りたいと考えています。出張報告書を使用して情報共有をスムーズに実施し、成果を報告してください。
正確な内容の出張報告書を提出するためには、出張中の移動時間や空き時間を使って出張報告書に記載する内容をメモしておくことをおすすめします。特に、数日や長期の出張の場合には出張報告書に記載する内容も多くなるため、日付ごと・業務ごとなどに分けてメモをまとめておきましょう。
メモがあるだけで出張報告書の作成スピードを劇的に上げることができ、重要な情報を忘れてしまう問題を防げます。
一般的に、出張についてのある程度の情報は出張前から分かっています。空き時間を利用してテンプレートを用意し、出張の概要や簡単なスケジュールを埋めておくと良いでしょう。帰社後の限られた時間を有効に使うためには、事前の下準備が大切です。
業務上で発生する全ての書類に言えることですが、出張報告書も必ず誤字や脱字がないかをしっかり見直してから提出しましょう。作成した出張報告書が、読みやすい内容にまとまっているか・誤解を生むような書き方がないか・全体的な文章構成のバランスなども確認します。
出張報告書の提出は可能な限り早い方が良いとお伝えしましたが、ケアレスミスが多い書類は自分の評価を下げてしまう恐れがあります。効率良く正確に提出物を作成できるようにならなくてはいけません。
初めは時間がかかってしまうかもしれませんが、回数を重ねるごとに効率を上げられると良いでしょう。
誤字や脱字と読みやすさについては注意を払うべきですが、出張報告書には明確な書き方のルールがないため、会社によって求められる完成形が違う場合もあります。
初めて出張報告書を提出する方は、この記事で紹介する一般的な出張報告書の書き方や例文を参考に作成した文書を上司に提出した上で、会社が求める形に直していけば良いでしょう。過去の出張報告書が閲覧可能な時は、事前に確認しておくことをおすすめします。
ここでは一般的な出張報告書の例文を紹介します。初めて出張報告書を作成するという方は、ぜひ例文を参考にしてください。
出張報告書
・作成者氏名
・作成日 2023年2月24日(金)
【概要】
・出張先 東京
・出張期間 2023年2月22日(水)〜2023年2月23日(木)
・目的 新製品の販売促進
・訪問先 A社丸の内本社営業部
・同行者 営業部 木下
【スケジュール】
2月22日(水)午後移動 丸の内〇〇ホテル宿泊
2月23日(木)10:00 A社丸の内本社営業部訪問(担当:営業部松山部長・飯田課長)
2月23日(木)午後移動
【成果】
営業部松山部長に改良後の新製品に興味を持っていただき、発売時にはまず100台ほどの導入を検討とのこと。
発売前のできるだけ早い段階で再度サンプルをご利用いただく予定。(可能であれば3月中)
2/24(金)概算見積書を送付済。(松山部長・飯田課長宛)
【所感】
松山部長に新製品導入の権限があるようです。旧製品も長くご利用いただいており、今後も追加発注が見込めるため、アフターフォロー体制を万全に整えたいと考えています。
また、オプションサービスに興味を持たれているようなので、オプションサービス受注見込みもあります。
オプションサービスについては検討とのことですので、数日開けてから電話にて確認をしたいと考えています。
出張報告書は帰社後になるべく早く社内で共有するべき文書です。出張の多い方は毎月何枚もの出張報告書を提出する必要があるでしょう。そのため、最適なフォーマットを見つけて効率良く出張報告書を作成できるようにしてください。
今回は無料で使用可能な出張報告書を、ワードとエクセルの両方のファイル形式で紹介しましょう。自分が使いやすいフォーマットが見つかれば、短時間で出張報告書を作れます。
ビズ研で紹介している出張報告書のフォーマットはシンプルで使いやすく、手書きの作成にも適しています。承認印欄の有無が選択可能なため、用途に合わせて使い分けられるでしょう。会員登録不要で、すぐにダウンロード可能だという特徴もあります。
次に、文例書式テンプレート集の出張報告書フォーマットを紹介します。精算すべき経費・提出書類の有無を選択可能な欄が設けられており、実用的だと言えるでしょう。
書式テンプレ配布サイトとして有名なbizoceanでも、出張報告書のフォーマットが用意されています。Excel形式であるため枠組みでしっかり項目が分類されており、読みやすいデザインに仕上げられています。
テンプレートNAVIではシンプルでアレンジしやすい出張報告書のフォーマットが無料配布されています。項目ごとに枠線が設けられていることから、手書きでも書きやすいでしょう。
出張報告書は出張後スムーズに情報共有するべき文書であるため、情報共有ツールの活用をおすすめします。情報共有ツールには無料で使用可能なテンプレートが豊富に用意されているだけでなく、作成後の文書をすぐに共有してコメントを募ることもできるのです。
たとえば情報共有ツールflouuには次のような機能が搭載されています。
・文書の共有機能
・複数の社員で文書を同時編集可能な機能
・文書へのコメント機能
・文書の閲覧履歴や編集履歴の確認機能
・文書ごとの細かな権限設定機能
・全文検索機能
flouuのこのような機能を活用すれば、出張報告書だけでなく社内に点在する全ての情報を一元管理できます。情報が共有されている組織では、社員が必要な情報を迅速に入手し活用可能なため、業務の効率化や生産性の向上につなげられるのです。
インターネット環境さえあればどこでも情報共有が行えることから、出張中の移動時間を活用して出張報告書を作成できるでしょう。出張報告書を含む書類の共有方法に悩んでいるのなら、情報共有ツールの導入を検討してみてください。
出張報告書の目的と書き方のポイントやすぐに使える無料のテンプレートを説明いたしました。この記事で紹介したテンプレートと例文を活用すれば、効率良く優れた出張報告書が作成可能でしょう。
出張の機会が頻繁に発生しない限りは、なかなか作成に慣れないかもしれませんが、回数をこなすうちに、短時間で有益な情報が込められた出張報告書が作れるようになります。
また、出張報告書をよりスムーズに共有させたいと考えているのなら、情報共有ツールを活用するべきでしょう。
【監修】プライズ株式会社 代表取締役CEO 内田 孝輔
2004年早稲田大学政治経済学部卒業後、アクセンチュア経営コンサルティング本部等にて多数の戦略・業務改革コンサルティング業務に従事。 その後、カカクコム食べログ本部等3社にて新規事業の立ち上げおよび事業経営に従事した後、株式会社iettyにて取締役COOとして業務改革、オペレーション組織立ち上げを中心とした幅広い企業経営に携わる。 登壇・専門誌への記事の寄稿多数。 営業から経理まで幅広い領域における業務変革をコンサルタント・事業経営者としてリードした経験を有する業務変革のプロフェッショナル。
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